締め切り直前にひらめくのはなぜ?脳科学が解き明かす時間管理の秘密

こんにちは。加藤ミサです。「朝時間で好きを仕事に」を合言葉に、「自分時間100倍戦略!」というサブタイトルで時短術や目標達成のアイデアなどを発信しています。
さて。
「よし!これがもうすぐ終わる!」と思った後に、急にひらめくことって、ありません?私はしょっちゅうあります。
実は、この現象には脳科学や心理学的な理由が隠されているそうです。本記事では、なぜ締め切り間際にひらめきが生まれるのか? そして、これを時間管理に活かす方法をご紹介します。
締め切り直前にひらめく理由
締め切り直前にひらめく理由は、脳科学的にも多数発表されています。主なものをピックアップすると下記のとおりです。
- ノルアドレナリンの影響
- 集中モードの切り替え
- DMNの活性化
① ノルアドレナリンの影響
締め切りが近づくと、脳は「ストレス反応」を起こし、ノルアドレナリンという神経伝達物質を分泌します。Arnsten(2009)の発表で述べられているもので、「戦うか逃げるか」反応を引き起こし、集中力を極限まで高める作用があるよ、というもの。
- 脳の覚醒レベルを上げる
- 注意力と判断力を向上させる
- ひらめきを生み出しやすくする
今終わらせて迎えに行くか、後ひと踏ん張りして延長料金を支払ってでもこの仕事に向き合うか?ワーママこそ毎回奮闘しているんじゃないかしら。火事場の馬鹿力という日本語もあるけれど、本当に何かしらの差し迫った事情があるとき、脳は全力で判断を下していこうとする。
これらの葛藤こそが、ノルアドレナリンの仕業。「締め切りが迫る=脳が危機を感じる」ことで、通常以上のパフォーマンスを発揮します。
② 「集中モード」の切り替え
脳は、拡散モード(ぼんやりする時間)と集中モードを交互に切り替えることで、創造的な思考を生み出すそうです。
これは Kounios & Beeman(2014)の発表。彼らは「ひらめきと創造的思考の神経基盤の第一人者」と言われており、ジョン・コウニオスとマーク・ビーマンとの共著「The Eureka Factor: Creative Insights and the Brain」も発表しています。
脳には大きく2種類のモードがあるらしい。
それぞれのモードの組み合わせは、こんな感じ。
- 拡散モード(リラックス時) → アイデアの組み合わせが起こる
- 集中モード(締め切り前) → 脳が情報を整理し、アウトプットする
面白いですよね。ちゃんと、オチをキメにかかるんですよね。脳が。この情報を知ったとき「だから、突然に終了が来ると、人間はストレスを感じるんやなぁ」と私は思いました。集中モードに切り替わる前にバスっと電源を閉じられる感じが、脳にとっては違和感でしかないんやろうなと。
締め切り直前には、脳が無意識に蓄積した情報を整理し、「これだ!」という答えを導き出す。これも覚えておきたい脳の働き。
③DMNの活性化
脳が「何もしていない時」に働く神経回路を「デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Networkの略称、DMN)」というそうです。このDMNが活性化すると、これまで無関係に見えていた情報が結びつき、創造的なひらめきが生まれやすくなります。
これは米ワシントン大学セントルイス校の神経学者マーカス・レイクル(Raichle)教授が提唱したと言われる話。「締め切り直前にひらめく」という現象は、DMNによる無意識の情報処理がピークに達した結果なんだそうです。
でも、DMNが活性化しすぎると、頭がぼんやりして注意力が散漫になるらしい。活性化と不活性化を交互にスイッチさせないと、ただただ脳のエネルギーを無駄に消費して疲れるだけになるんだそうです。色々調べてみた結果をまとめると、下記。
DMNが活性化しているとき | DMNが不活性化しているとき | |
リラックス | している | していない |
集中力 | なし(注意力散漫) | 高まっている |
脳のエネルギー消費 | 膨大(不活性化時の約15倍) | 省エネ(活性化時の約1/15) |
思考傾向 | ネガティブになりやすい。後悔しがち。 | ポジティブ。やる気。 |
どちらか片方に偏るのが良いのではなく、DMNが活性化しているのは「備え」ともいわれています。万一何かに襲われた!とかそんなときに車のエンジンをふかすところから始めていたら急発進はできないですよね。それと同じように、脳の思考回路をアイドリングしているような状態が「DMNが活性化しているとき」。
だけど、これが長すぎるとあれこれ思考が巡りすぎて、脳は疲れてしまう。だからこそ、その脳をちゃんと省エネしようと思ったら、DMNには落ち着いてもらって不活性化してもらうといいわけで。その方法にはマインドフルネスだったり、お散歩してみるとか、デジタルデトックスに走るのもいいと言われています。
だからこそ、私はますます思うのは「好きなモノは多けりゃ多い方がいい」のよ。あれしたい!これしたい!って気持ちがアガるアイテムは、本当にいくつあってもいい。何かモヤモヤ思考が堂々巡りになっているなぁ、っていうときに断ち切るアイテムになるからです。
ひらめきを活かす時間管理術
締め切り直前にひらめきやすいなら、ひらめきやすい状況を作ればいいですよね。シンプルな発想です。
英国の歴史学者シリル・パーキンソンは、「仕事の量は、与えられた時間いっぱいに膨張する」と指摘しました。つまり、締め切りが遠いとダラダラしがちっていうのは、理にかなってたらしいのです。余裕を作れば作るほど、だらだらと進んじゃう。それなら無駄な余裕は作らない方が良い。
私の「自分時間100倍戦略!」も、限られた時間の中でやりたいことをギュギュっと詰め込んで達成するための戦略です。加藤ミサ、ことかとみさ流の時間術は「時間を作ることと、時間を使うことはセットで考える」がポイント。いくつかご紹介しましょう。
①「締め切り」は3パターンから選ぶ
締め切り時間のベストタイムは、様々な時間単位が言われています。私は3つのパターンから選ぶことをお勧めします。それは「15分 / 30分 / 45分」。
作業ボリュームに合わせて「あ、これは5分以内で終わりそうかな」という場合は休憩とセットで最大15分。洗濯物と掃除機をかけたらセットで20分くらいかかるかな、と言う場合は最大30分、と決める。休憩部分は、お手洗いに行ったり、ちょっとお水を飲んでみたり、自分自身が「休憩中にすること」と認識している物事を間に挟んでみるのです。
仕事の打ち合わせも、45分以内に終わらせる、と心に決めておきましょう。だいたいはディスカッションが盛り上がっても50分くらいで終わります。大事な商談でも、気づけば15分で終わることも。
短そうに見えるけど、意外と実はできるんです。この3パターンを組み合わせると、ちょっとだけ作業時間が延びてしまうバッファを見込んでも「1時間枠の中に作業と休憩をセットにした予定を組み立てる」ことができるんです。この枠を最初に作って、そこに作業をはめて、物事を進める。このセットがポイントです。
②TODOは細分化する
やりたいことは、やりきって初めて「達成」ですね。だけど、そのやりたいことや優先タスクが大きな塊になっていると、なかなか終わりは見えません。終わらないということは、締め切りに間に合わないという焦りや不安も生みかねません。
だからこそ、予定や計画を立てるときには「TODOを細分化する」のは必須。さきほどの3パターンにはめれる時間単位が想像できるくらいまで細分化できるとベストです。TODOの細分化については、下記も併せてご参考ください。

③無理に続けない
思考が堂々巡りになったり、妙案が浮かばない!っていうこともしばしばあります。そんな時は、一旦作業から離れることも大事。その時は、どこまでできたかを一緒にメモしておくと「○○まではできた」とプラスの感覚で脳も認識できるのでお勧めです。
どうしても時間が迫ってくると、終わらない、どうしよう、という方にに思考が傾いてしまいがち。進めたいモノゴトがなかなか前に進みません。この進みが悪い時は、一旦作業からの離れ時です。
ちょっとお気に入りの紅茶を入れてみたり、いつもと違うおしゃれなコーヒーを飲んでみたり、はたまたベランダに出て外の空気を吸ってみたり。ちょっとだけ、離れてみる。不思議なもので、一旦脳がリラックスして再び戻る頃には堂々巡りのループから多かれ少なかれ離脱ができる。脳の切り替えを味方につけてしまいましょう。
まとめ
締め切り直前のひらめきを活かすには、脳の動きを味方につけること。そのためには、脳の仕組みを理解しておくこともポイントになります。
末尾のこのまとめを書きながらふと思ったのだけど、、時間をコントロールしようとするのではなくて、時間と脳の波長を合わせるような感覚。これが個人的には近いかなぁ、と思ったりもします。本当にうまく合うときは、ストレスなくやりたいこともしっかり片付いて、めっちゃくちゃ気持ちいいし、心の底から楽しいもん。時間が過ぎるのもあっという間。すごく濃密な時間が過ごせているときは、きっと時間と脳の波長がかみ合ってうまく波に乗れているから、モノゴトも進んでいるんじゃないかしら。
この記事が、どなたかの少しでもお役に立てたなら嬉しいです。
では、また次の記事でお会いしましょう。